7時間で砂漠を豊かな土壌へ変える|気候変動対策の可能性を探る
気候変動によって起こる問題は、気温の上昇だけでなく、砂漠化や水不足などがあります。砂漠化の進行は、耕地面積の減少によって農作物の生産量が落ち、貧困の増加や値段の高騰による飢餓など、他の社会問題に繋がっています。また、私たちが使用できる水資源のうち、7割近くは農業つまり食料生産のために使われています。つまり、水不足は食料危機と直結しています。
日本の現状
日本は水が豊かな国であるというイメージから、水不足とは無縁だと感じる方もいるかもしれません。しかし、一人当たりに換算すると世界平均を下回っており、決して多くはありません。
また海外から多くの食糧を輸入しているので、現地での収穫量が減ることで生産量の低下、あるいは輸出の規制などが行われることが考えられます。
地球を再び緑にする
北欧ノルウェーに本社を置くDesert Control社は「地球を再び緑にする」というビジョンのもと、年々深刻化している砂漠化問題の解決に向けて取り組んでいます。
彼らは農作物の育たない貧しい土壌(砂漠の砂)を肥沃な土地に変える「Liquid Natural Clay(LNC)」という液体化した粘土を開発しています。LNCは化学物質を使用していない100%天然の成分でできているので、土壌汚染の心配もありません。
LNCの仕組み
多くの作物が育つ豊かな土壌とは、多くの粘土が含まれたものになります。しかし、乾燥した地面に粘土を混ぜることは簡単ではありません。よって彼らは、液体に変化させるテクノロジーを開発しました。また、土壌によって特性が違うため、現場で濃度を調整しています。
やり方はとても簡単で、液体状になっているLNCを地面の表面にスプレーするだけです。スプレーすると40〜60センチの深さまで浸透し、砂の粒子に付着。スポンジのように水を保持する土壌を形成します。一度行えば3〜5年は保てるそうです。これまで砂漠化した土地を元の状態に戻すまで、7年から12年かかっていたものが、この技術を活用することで7時間にまで短縮することが可能になりました。
また、水を保持することができるので使用する水の量は従来の地面より50%削減することができます。また、農作物を育てる際に必要な肥料もこれまでの半分で済み、さらに収穫量は62%も増加したそうです。
LNCの活用事例
LNCは農業分野でも大いに役立ちますが、乾燥地域で景観を保つためにも活用することができます。これまで緑の景観を保つのに使用されていた水のコストを大幅に削減することができます。
また、砂漠や乾燥した土壌だけでなく、従来の土壌にも散布することで水の使用量を減らすことが可能です。
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最後に
現在世界では気候変動によって、砂漠化や水不足の問題が深刻化しています。水不足は食糧危機にも直結しており、解決が急がれる問題の一つです。また、砂漠化が進行することで農作物が栽培できないなど、食糧危機だけでなく貧困の増加や飢餓の問題とも繋がっています。
今回ご紹介したDesert Controlの取り組みは、砂漠化した土地を7時間で豊かな土壌に戻すことができます。それだけでなく、乾燥していない土地で利用することで、水の使用量を削減することができるのは、気候に関係なく多くの国で利用してほしい技術だと感じました。