2025年の旅行トレンドは?宇宙や長寿、自己啓発の旅に注目!
Booking.comが2025年の旅行トレンドを発表しました。
「宇宙を体感するナイトツーリズム」や「男性同士の自己啓発の旅」など個性的な旅だけでなく「空港そのものを楽しむ旅」など、これまでにない旅のスタイルが注目されています。
本記事では2025年に注目される9つの旅行トレンドを解説しています。
2025年の旅行トレンドは?
Booking.comの調査によると、2025年は宇宙を体感する「ナイトツーリズム」や長寿を得るための「リトリート旅」など、より個性的で意味のある体験へと発展していきます。
ウェルビーイングにつながる「体験型ツーリズム」が今後も注目されるでしょう。
2025年の旅行トレンド一覧は、次の通りです。
- 宇宙を体感する「ナイトツーリズム」
- 長寿を得る没入型リトリート旅
- 個の欲求を満たすAI活用の旅
- 多世代で紡ぐ、心に刻む旅
- 男性「同志」ウェルネスと自己啓発の旅
- シニアの枠を超えてスリル満点な冒険への旅
- 見えない細部のニーズをテクノロジーで形にする旅
- ヴィンテージを楽しむ旅
- 空港を旅程の一部として楽しむ旅
旅行者の価値観は大きく変化しており、旅行業界に対して、単なるサービス提供から「人生の質を向上させるサポート」への転換が求められています。
今後、旅行産業は多様化・深化するニーズに応えながら、持続可能性と収益性の両立を図る必要があります。そのためにも、テクノロジーの活用とサービスの質の向上、そして柔軟な事業展開が必要不可欠です。
宇宙を体感するナイトツーリズム
宇宙体験型の観光「ナイトツーリズム」は、2025年の新しい旅行スタイルとして注目を集めています。
Booking.comの調査では、72%の世界の旅行者と67%の日本の旅行者が「星空観察に適した、暗い観光地への旅行」を検討していることが明らかになりました。
例えば、専門ガイドと一緒に星座や天体を学ぶ「ツアープログラム」が人気です。旅行者の多くが、星空ガイドによる案内付きの天体観察ツアーへの参加を望んでいます。
旅行者の「環境への意識」が高まっている点も、注目すべきポイントです。54%の旅行者が「街灯りの少ない宿泊施設」を選び、夜空の星をより鮮明に観察できる環境を求める傾向にあります。
また、気温の上昇を意識し、日光を避けた夜間の活動を選択する旅行者も増加していることがわかりました。
さらに、流星群やオーロラの観察を目的とした旅行も増加傾向にあり、旅行者の多くが「一生に一度の天文現象を見るための旅行」を計画しています。
長寿を得る没入型リトリート旅
ウェルネスへの関心が高まる2025年、旅行者は一時的なリラックスを超えた、長期的な健康増進を目指すでしょう。
Booking.comの調査では、58%の世界の旅行者(日本33%)が「寿命延伸と健康増進を目的とした休暇」に投資を考えています。
旅行者の多くは普段から、下記のような健康法に注目しています。
- 日常生活に取り入れやすい新しいウェルネス習慣
- 全身振動
- 赤色光を使用したレッドライト療法
- クライオセラピー(凍結療法)
- 幹細胞治療
旅行の計画にも健康プログラムを取り入れるなど、長寿を追求するための時間として旅行が見直されるでしょう。
個の欲求を満たすAI活用の旅
AIテクノロジーは、旅行者一人一人の好みに合わせた観光プランを提案してくれます。世界の旅行者の67%(日本55%)がAIを使って、混雑していない観光スポットを探していることが明らかになりました。
SNSでの場所のタグ付けも、旅行先の選択に大きな影響を与えています。世界の旅行者の44%(日本63%)がSNSで見つけた新しい観光スポットを訪れる傾向にあります。SNSでタグ付けできる場所を重視する傾向は、Z世代とミレニアル世代に顕著に現れている点が特徴です。
また、スマートフォンアプリを活用すれば、快適な旅行体験が実現できます。世界の23%(日本21%)の旅行者がリアルタイムで混雑状況を確認し、その場で予約の変更を行っています。
AIを活用したデータドリブンな旅行がますます注目され、より満足度の高い旅行を楽しむ旅行者が増えるでしょう。
多世代で紡ぐ、心に刻む旅
2025年の家族旅行は、将来のための貯蓄よりも「思い出作り」を重視する傾向にあります。
世界の旅行者の46%(日本も同じく46%)が、遺産として子どもに財産を残すことより、一生に一度の家族旅行にお金を使いたいと考えてます。家族間でお金を出し合う意向は、ベビーブーム世代で49%、サイレント世代で40%に達しました。
思い出づくりを重視する「SKI(Spend Kids Inheritance)バケーション」と呼ばれる傾向は、若い世代にも影響を与えていると言えるでしょう。58%の旅行者が成人後に親からの旅費支援を受けた経験があり、世代を超えた家族旅行が一般的になってきています。
共に過ごす時間を大切にする新しい価値観が、家族の絆を深める機会を生み出しています。
男性「同志」ウェルネスと自己啓発の旅
2025年の男性同士の旅行は、飲酒や騒ぐことを目的とした従来のスタイルから、心身の健康と自己成長を重視する形に変化すると言われています。
世界の旅行者の47%(日本20%)が「男性同士での旅行」を、身近な男性に勧めたいと考えています。この傾向は若い世代でより顕著に表れており、Z世代の65%、ミレニアル世代の58%が男性同士での旅行を推奨していることが明らかになりました。
男性たちが求める旅の目的は、次のとおりです。
- 休息と活力の回復
- 日常のストレスからの解放
- 新しい交友関係の構築
さらに、男性の旅行者たちは精神的な成長も重視しています。「個としての成長」を目指し、メンタルヘルスの向上を期待している男性が増えているのも特徴です。
シニアの枠を超えてスリル満点な冒険への旅
「団塊世代」と呼ばれる1947〜49年生まれのベビームーブ世代は、静かな老後を過ごすという従来のイメージを覆し、より冒険的な旅行を求めています。
約4分の1(23%)のベビーブーム世代が「年齢にとらわれない冒険的な旅」に興味を示しており、この数字は2024年の10%から大きく増加しています。
また、冒険を求める具体的な傾向も明確に表れており、下記のような体験を求めているのも注目すべきポイントです。
- アドレナリン全開の旅
- ワインレイブ(ワインを楽しむパーティー)
- 最高峰の山脈でのトレッキング
- 世界最大の川でのカヌー体験
- スカイダイビング
- 南極でのキャンプ
- ケイブダイビング
- ボルケーノボーディング(火山でのボード滑走)
「冒険に年齢制限がない」といった新しい価値観を示しており、シニアに向けた旅行アクティビティも増えるでしょう。
見えない細部のニーズをテクノロジーで形にする旅
2025年の旅行トレンドとして、ニューロダイバーシティ(神経多様性)である旅行者たちのニーズに応える旅行が挙げられます。
考え方や情報処理など、脳や神経に由来する個人レベルの違いに基づくニーズは、可視化することが難しい傾向にあります。今後、発達障がいのある方や、神経学的マイノリティにあたる方のニーズに応える旅行が注目されるでしょう。
例えば、旅行者の多くが空港やホテルなどの公共スペースに感覚室の設置を求めています。過剰な刺激を和らげ、くつろげる空間を求めるといったニーズが見受けられます。
一方で、50%の旅行者は「神経多様性のために旅行の選択肢が限定されている」と感じており、49%が「旅行中にネガティブな体験をした」と回答しました。
航空会社や宿泊施設に対して、旅行者がニーズをシームレスに伝えるためにも、業界全体の取り組みが期待されるでしょう。
ヴィンテージを楽しむ旅
旅行者は休暇中のショッピングスタイルにおいて、ヴィンテージショップを訪れたり、中古品を購入したりした経験があると回答しています。
また、持続可能性とコスト意識の高まりを受けて、旅行中の衣服購入に対する意識も変わってきています。
旅行者の中には、海外のヴィンテージショップで「自国よりも質の良い商品を見つけられる」と考えており「より良い掘り出し物が見つかるから」と、購入経験があることを回答しました。
この傾向は単なるトレンドではなく、経済的な判断とも結びついています。旅行者の多くが旅行中の節約を意識し、旅行体験を最大限に楽しむために予算計画を厳しく管理しています。
ヴィンテージショッピングは、持続可能性への配慮と賢い消費の両立を実現する、新しい旅行スタイルとして定着していくでしょう。
空港を旅程の一部として楽しむ旅
2025年の空港体験は、単なる通過点から旅行の重要な目的地へと変わっていくでしょう。60%(日本65%)の旅行者が「フライト前に利用できる施設が充実していれば、旅行がより楽しく、ストレスが軽減される」と考えています。
この傾向は、具体的な施設への期待となって表れています。旅行者の過半数が「ユニークな体験施設を持つ空港」に興味を示していることが明らかになりました。
特に、若い世代の関心が高く、空港で次のような施設の利用を望んでいます。
- スリープポッド
- スパ施設
- ミシュラン星付きレストラン
さらに注目すべきは、34%(日本20%)の旅行者が、空港の魅力自体を理由に旅行先を選ぶ傾向にあります。
ぎりぎりに到着して混雑したラウンジで待機する従来のスタイルから、空港での時間を積極的に楽しむ新しい旅行スタイルへと転換していくでしょう。
まとめ
2025年の旅行トレンドは、従来の観光の枠を超えた、より個性的で意味のある体験へと発展していきます。
宇宙を体感する「ナイトツーリズム」や長寿を目指すリトリート旅行、AI活用による個人の好みに合わせた旅行プランなど、旅行者のニーズは多様化しています。
環境への配慮や個人の成長、人とのつながりを大切にする価値観の変化を反映したトレンドをもとに、2025年の旅行はより深い意味と目的を持った体験となるでしょう。