培養肉の次を狙え。培養チーズが面白い!米国の事例3選

培養チーズは、バイオテクノロジー活用した新しい培養食品として、培養肉に次ぐ可能性を秘めているとされ、現在世界中からの注目が集まっています。その理由は、従来のように牛を飼育して得た牛乳から作るチーズよりも地球や環境への負荷が少ないからです。

牛は成長段階で食べる飼料の多さに加えて、その飼料を栽培するために使われる化学肥料や農薬などが土壌や水質汚染の原因になります。畜産に携わる人々の健康問題にも影響を及ぼします。

また、牧場を建設するために森林が伐採され、熱帯雨林が失われるなどしています。現在、食肉の生産のために使われている陸地は地球上の約1/4を占めているともいわれます。この熱帯雨林の消失は、気候変動の要因のひとつでもあります。

そこで本記事では、培養食品に対する世界の取り組みとともに、フードテックの研究開発が盛んなアメリカから、培養チーズメーカー3社をご紹介します。

地球を救うための持続可能な食料形態|世界の取り組み

世界各国で行われている持続可能な生産消費形態を確保する取り組みには、さまざまなものがあります。その理由は、飢餓の原因が農業や畜産の生産と消費サイクル全般に関係するからです。

作物を育てようと畑を作ったり、家畜を飼育しようとしたりするとき、森林が伐採されます。森林伐採が過度になれば環境破壊につながり、極端な気候変動の原因になります。日照りや大雨などが続くと作物や家畜が育たずに、飢餓が発生するというサイクルを繰り返してしまいます。植樹や井戸掘り、長く作物が収穫できる畑作り、育てられた作物が販売できる仕組み作り、道路の整備なども飢餓ゼロの取り組みといえます。

培養チーズは、細胞培養技術で牛に頼ることなく生産できるため、広大な土地や水を必要とせず、牛の飼育過程で発生するメタンガスの量を削減することが期待されています。また、培養チーズを選ぶことで従来のチーズの生産量を低減させ、飼育される牛など家畜の数を減らすことも可能です。

培養チーズの生産に取り組む米国企業3選

培養チーズを作るのに、牛は必要ではありません。早速、この分野での研究開発が盛んな米国でフードテックの最前線を担う3社を見てみましょう。

NEW CULTURE

https://www.newculturefood.com/より引用

New Cultureは、Ahmed Khan氏によって2018年にサンフランシスコで創設された培養チーズを作る会社です。アニマルフリーとし、その名の通り、動物に由来するものをまったく使うことなく培養チーズを作っています。

培養チーズを作る方法は企業によって異なりますが、まずモッツァレラチーズの伸びる特性や、そもそも液体であるミルクを固形に変える働きをするのが、ミルクの中の80%以上を占めるカゼインと言われる成分です。

このカゼインはチーズを作る上でとても大切な役割を果たすわけですが、決まった構造がなく、様々なものと結合する特性を持っています。

同社は、チーズの中でもナチュラルチーズの代表格とされるモッツアレラチーズ独特の、なめらかに伸びるとろける食感にこだわり、その食感を生むカゼイン(タンパク質)を生成することに力を入れています。

カゼインの生成には、微生物発酵の力が必要です。発酵に必要な栄養として、数種類の植物性オイルや植物由来の糖分、カルシウム、ビタミン、ミネラルを配合し、その一方でコレステロールや乳糖(ラクトース)を取り除きます。

このようにして作られた培養チーズは、チーズ同様に栄養豊富かつ低脂肪ですから、人々への健康に配慮された食品だといえるでしょう。

New Cultureの製品のように、牛に頼らない培養チーズは、牛のゲップに含まれるメタンガスを発生させることはありません。また、牛の飼料栽培や排泄物の処理のための広大な土地や水なども必要としません。

同社は、バイオテクノロジーを活用したフードテックで培養チーズを生産し、地球環境への負荷を低減した食品作りで食の未来を切り開こうとしています。

CHANGE FOODS

Change Foodsは、2019年にDavid Bucca氏によって創設された培養チーズメーカーで、創設されたオーストラリアから拠点を移し、米国カリフォルニア州で活動しています。同社は、アニマルフリーの培養チーズを生産することが地球資源の節約や環境への負荷を低減させ、SDGsに貢献すると考えています。

微生物発酵を活用して乳たんぱく質凝濃縮物を生産できることから、チーズに限らずヨーグルトやアイスクリームなどの幅広い乳製品に応用することも可能です。

特徴的なのは、生産培養チーズの生産が従来の方法に比べて、どれくらい地球資源への負荷が少ないかをトップページ上で情報公開していることだといえます。

https://www.changefoods.com/より引用

牛の飼育と比較すると、水は10分の1、土地は100分の1、エネルギーは5分の1、飼料は25分の1で培養チーズができるとしています。

Perfect Day

https://perfectday.com/より引用

Perfect Dayは2014年、カリフォルニアのバークレーでRyan Pandya氏とPerumal Gandhi氏によって創設された会社です。

両氏はもともとビーガン(完全菜食主義者)で、動物由来の乳製品ばかりという状況に不満を持っていたことから、アニマルフリーの乳たんぱく質を開発することに踏み出しています。

2019年、開発した乳たんぱく質の使用許可を当局から受け、アニマルフリーのアイスクリームを商品化し販売しました。

https://nicks.com/collections/pints より引用

ビーガンなどアニマルフリーの乳製品を待ち望んでいたユーザーから支持を受け、そのブランドであるパーフェクトデー・アイスクリームは、ハーゲンダッツやベン&ジェリーズなどと同様の価格帯で販売される人気を誇ります。

また、同社はアイスクリームの開発でよく知られていますが、同じ乳製品の培養チーズも手掛けています。

同社は乳たんぱく質の生産において、水を96~99%、温室効果ガスを91~97%%、非再生可能エネルギーを従来の方法よりも29~60%削減するとしています。

まとめ

ここで取り上げた企業をはじめとして、バイオテクノロジーを活用した培養チーズメーカーは、創業から数年以内の「スタートアップ」と呼ばれる若い企業が多くあります。どの企業も自社のビジネスを通して、地球環境や資源への負荷低減に貢献しています。

地球温暖化の主な原因とされる温室効果ガスとして二酸化炭素がよく知られていますが、そのほかにメタンガスがあります。このメタンガスは牛のゲップに含まれ、二酸化炭素の25倍の温室効果があると言われています。

牛などの家畜のゲップから放出されるメタンガスは、世界の温室効果ガスの4%を占めるといわれいるので、牛のゲップを減らすことは、温室効果ガスの低減、ひいては地球温暖化への影響を軽減することにつながります。

牛に由来する原材料をほかのものに変える代替食をめぐる世界のフードテックの動きに注目しましょう。


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