プラスチック削減に向けて取り組むアメリカの注目企業3選を紹介
ここ数年で耳にする機会が増えたプラスチック問題。日本国内だけでなく、海外でも問題に対する意識は高まっています。プラスチックは耐久性があり、また安価なためさまざまな用途で使用されています。
しかし、きちんと処理されずに海に流れ出てしまうと、分解されず長期間漂い続けます。その結果、海の景観が損なわれたり、海洋生物が誤ってエサと間違えて飲み込んだり、絡まって命を落とすなど、生態系にも多大な被害が発生しています。
詳しくはこちら▼
私たちも日頃からマイバッグを持参したり、ごみの分別などの取り組みを行っていますが、企業ではどのような取り組みがされているのでしょうか。本記事では、プラスチック削減に向けて取り組んでいる米国3社の取り組みをご紹介します。
Girlfriend Collective
Girlfriend Collective(ガールフレンド コレクティブ)は2016年にアメリカ・シアトルで誕生したアクティブウェアブランドです。使用済みのペットボトルや海から回収した漁網を再利用し、新たに生地として蘇らせることで海洋プラスチック問題に取り組んでいます。
同社では、単にリサイクル素材からウェアをつくるだけでなく、製造過程においても環境に優しい染料を使用し、染色工程で使用する水においても注意深く管理がされています。さらに、不要になったGirlfriend Collectiveのウェアを回収し、新しいウェアへと生まれ変わらせるリサイクルプログラムでサステナブルな取り組みを強化しています。持続的可能なリサイクル素材を使用することで海をきれいにし、またナイロンの生産に使用される原油などの原材料の必要性をも排除しています。
そして、最も注目したいポイントは、商品一つひとつのページにサステナビリティレポートを表示していることです。その商品を購入することで環境にとってどのような効果があるのかを知れるため、消費者の地球環境への意識も高めています。
United by Blue
United By Blue(ユナイテッド バイ ブルー)はアメリカ・フィラデルフィアを拠点に展開するアウトドア・アパレルブランドです。自分たちが住む環境を守りたいという想いから2010年にスタートしました。
社会や環境に対する配慮や、透明性などの厳しい基準を満たしている企業に対して与えられるB-CORP(Bコーポレーション)の認証を取得しています。また、設立当初から1つの製品が売れるたびに海や川から1ポンド(約453g)のごみを取り除くという目標を掲げています。河川敷からタイヤを引き出したり、海岸沿いに捨てられたペットボトルを拾ったりといったクリーンアップ活動を主催し、環境問題に取り組んでいます。
United By Blueでは、「自然を楽しむためにつくられる製品は、自然に優しいものでなければならない」という考えのもと、扱う商品はすべてペットボトルなどのリサイクル・リユースできる素材を厳選して製造されています。また、協力会社(サプライチェーン)のプラスチック利用削減に向けて、ビニール袋を使用せずに製品の出荷をするなど、海洋プラスチック問題への解決に積極的に取り組んでいます。
method
method(メソッド)はアメリカ・カリフォルニア生まれのエコクリーナーブランドです。自然界で分解されやすい、植物由来の洗浄成分を使用した環境に優しいクリーナーを製造・販売しています。
2007年に環境に対する配慮や、透明性などの厳しい基準を満たしている企業に対して与えられるB-CORP(Bコーポレーション)の認証を取得し、ほとんどの製品において安全で環境にやさしい製品を証明するCradle to Cradle®(ゆりかごからゆりかごへ)認証を取得しています。また、シカゴの自社工場では、風力発電や太陽光発電システムを採用するなど環境に配慮したクリーンエネルギーでものづくりを行っています。
環境に優しいのは洗剤の原料だけでなく、methodのボトルは100%再生プラスチックが使用されています。海から回収されたプラスチックごみと再生プラスチックからつくられたオーシャンプラスチック素材の開発や、リユース可能なアルミボトルの販売を進めるなどしています。プラスチックごみの削減を通して、海洋プラスチック問題への解決に取り組んでいます。
まとめ
海のプラスチックごみを減らすには、プラスチックの生産・使用量を減らすとともに、いかにリサイクルを進められるかが重要になります。現状では、プラスチックの使用量が増えれば増えるほど、海洋にそして環境中にどんどん蓄積されていきます。また、個人がどれだけプラスチックを使用しないようにしていても、企業が流通させていては意味がありません。
今回ご紹介した企業はアパレル、洗剤メーカーと業界はバラバラですが、それぞれの方法で海洋プラスチック汚染問題解決のためにアクションを起こしています。消費者である私たちも、削減に向けた取り組みはもちろん、こうした企業の取り組みに注目していくことも重要でしょう。